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Q&Aコーナー

3.その他の中耳炎

3-1中耳炎の中で怖い中耳炎にはどんなものがありますか?

幼児期の中耳炎が治りきらずに、そのまま続くと、その後、癒着性中耳炎や真珠腫性中耳炎をおこしてくることがあります。このような中耳炎では、入院での手術が必要になります。特に、真珠腫性中耳炎は、放置しておくと、感音難聴(感音難聴については10-2を参照)、めまい、顔面神経麻痺、髄膜炎、等々の合併症をおこしてくる可能性があるので、注意が必要です。

3-2【慢性中耳炎】の症状と治療方法

一般に、鼓膜は再生力が強く、穴があいたり、人為的に切開したりしても、直ぐに、再生して創が塞がってしまいます。しかし、中耳炎が慢性化して、鼓膜の穴が塞がらずに開いたままになってしまった状態を、慢性中耳炎といいます。

慢性中耳炎の主な症状は難聴と耳漏(耳垂れ)ですが、全く無症状の場合もあります。単に鼓膜に小さな穴が開いているだけで症状がない場合には、必ずしも治療を必要としません。しかし、耳漏を繰り返すような場合や難聴感が強い場合は、手術をして鼓膜の穴を塞ぐと症状が改善します。

67才女性 右慢性中耳炎

3-3【真珠腫性中耳炎】の症状と治療方法

中耳の中に、真珠腫とよばれる塊りができたものを真珠腫性中耳炎といいます。真珠腫といっても腫瘍ではありません。皮膚の垢の塊りのようなもので、表面が真珠のような灰白色の光沢をもっていることに加え、あたかも貝の中の真珠のように、中耳のなかで少しずつ大きくなっていくことから、真珠腫という名前がついています。中耳は、その奥にある内耳や上にある脳と、薄い骨で隔てられています。真珠腫が少しずつ大きくなるうちに、これらの骨を壊して周囲の組織に伸展していくと、難聴、めまい、顔面神経麻痺、髄膜炎、等々の合併症をひきおこすことがあります。これらの合併症を引き起こす前に手術をして、真珠腫を取り除くことが必要です。

84才男性 右真珠腫性中耳炎

3-4【癒着性中耳炎】の症状と治療法

鼓膜は、元々は弾力があり、あたかも太鼓の皮のようにピンと張っています。しかし、急性中耳炎を何回も繰り返したり、滲出性中耳炎が治らないまま長く続いたりすることにより、鼓膜が薄くなって弾力がなくなり、中耳の奥の粘膜にくっついたようになることがあります。これを癒着性中耳炎といいます。

軽症の場合は、病気の進行を防ぐために、耳管通気という治療などを行います。進行したものでは、鼓室形成術という手術が必要になることがあります。

癒着性中耳炎にならないように、幼児期の中耳炎は、その都度、しっかり治療を行うことが重要です。

8才男児 左癒着性中耳炎

47才女性 左癒着性中耳炎