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Q&Aコーナー

9.かぜ

9-1かぜとはどんな病気ですか?

かぜを、一言でいうと、急性の上気道の感染症ということになります。感染症とは病原微生物によっておこる病気のことです。かぜの原因となる微生物は沢山あり、ライノウィルス、コロナウィルス、アデノウィルス、RSウィルス、インフルエンザウィルス、等々、またウィルス以外で、マイコプラズマや一部の細菌などがあるとされています。えっ、なぜインフルエンザウィルスが入っているの? インフルエンザは、かぜではないだろう、と思われた方がいるかもしれません。確かにそうです。インフルエンザは上記に挙げた他の微生物と違って、高熱など重い症状を起こすことが多いので、特に区別してインフルエンザとして扱われます。しかし、インフルエンザでも軽くかかる場合もあり、そのようなときには、他の微生物によるものと見分けがつかないことがあります。

すなわち、かぜというのは、「かぜ菌」というような特別の原因による病気ではなく、色々な病原微生物が、鼻やのどについて、軽く炎症をおこしたような状態を、全部まとめて、かぜといっているわけです。このような意味を踏まえて、医学用語としては、かぜ症候群といいます。

48才男性 普通感冒での咽頭所見

22才女性 上咽頭炎
(感冒症状で受診)

9-2かぜの治療法を教えてください。

原因となる病原微生物の多くがウィルスであり、しかも前述のように、特定のウィルスではないため、原因を除去するような治療法はありません。いわゆる、かぜ薬(総合感冒薬)とは、かぜのときにおこってくる色々な症状(鼻水、のどの痛み、頭痛、等々)を緩和させるいくつかの薬を混合したものです。したがって、かぜ薬(総合感冒薬)を飲んでも、かぜ自体が治るわけではありませんし、また、かぜの予防にもなりません。また、通常、市販の総合感冒薬には、抗ヒスタミン薬という薬が混ざっています。抗ヒスタミン薬は、眠気をおこしやすいので、飲んだときには、車の運転などに注意が必要です。

かぜをひいたときには、まず、身体を冷やさないようにすること、安静にすること、また、人にうつさないようにすることを心がけましょう。食事は、無理にとる必要はありませんが、水分はしっかりとりましょう。あまりひどい症状がある場合は、症状にあわせて、その症状を和らげる飲み薬などを使うとよいでしょう。

9-3かぜの時は薬を飲んだほうがいいのでしょうか?

前述のように、積極的に飲み薬を飲まなければならないということはありません。頭痛、発熱、鼻汁、のどの痛みなどの症状が、あまり強い場合は、それぞれの症状を緩和する飲み薬を飲むと楽になります。また、かぜをひいた場合、しばしば最初のウィルス感染に引き続いて、細菌感染を併発してくることがあります。このような場合には、抗生剤が必要となることもあります。

9-4かぜのときに、抗生剤を飲んでも無意味だといわれましたが、どうなのでしょうか?

従来の細菌が変異して、抗生剤が効きにくい性質を持ってしまった菌のことを耐性菌といいます。最近、耐性菌が増えつつあることから、抗生剤の使用をなるべく控えようという動きが出てきました。この一環として、かぜのときに抗生剤を使うのを止めようという意見があります。確かに、かぜの原因となる病原微生物の多くはウィルスで、抗生剤はウィルスには効きませんので、もっともな話しです。ただし、9-1で書かれているように、かぜは必ずしもウィルスばかりではなく、一部、細菌で起こってくるものもあります。また、9-3に書かれているように、最初、ウィルスの感染があっても、その後、引き続いて細菌の感染をおこしてくるケースはしばしば見られます。すなわち、抗生剤の乱用は避けるべきですが、逆に、かぜだから一律に抗生剤は使わないというのは必ずしも正しいとはいえません。一例一例毎に、その状態に応じて、必要な場合には抗生剤を使うというようにすべきでしょう。

9-5自分以外の家族がもらったお薬を飲んでも構いませんか?

いわゆる総合感冒薬の場合は、年齢、体重が同じくらいの人であれば、飲んでも特に差し支えはないでしょう。しかし、特定の症状に対して処方された薬や細菌感染の治療のために処方された抗生剤は、他の人が飲んでも効果がないかもしれません。また、過去にお薬で副作用をおこされたことがあるような方は、他の人に処方されたお薬を飲むのは危険ですので、控えるべきです。