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Q&Aコーナー

11.のどの違和感

11-1のどが詰まったような感じがするのですが、大丈夫でしょうか?

「のどが詰まったような感じ」は、耳鼻咽喉科を受診される方の症状として、比較的多いもののひとつです。炎症をおこして、のどが腫れたりする他に、逆流性食道炎や甲状腺腫瘍など、のど以外の病気で、のどが詰まったような感じがすることがあります。また、のどの詰まった感じが非常に強いにもかかわらず、いくら調べても原因がはっきりしないものあります。これを咽喉頭異常感症といいます。これらは、症状だけからは診断することができませんので、のどの詰まった感じが長く続く場合は、一度、耳鼻咽喉科を受診されるとよいでしょう。

11-2診断方法と治療方法を教えてください。

診断方法としては、主に、内視鏡検査と超音波検査を行います。内視鏡では、鼻腔(鼻の中)、咽頭・喉頭(のど)を調べます。超音波検査では、頚部のリンパ節や甲状腺の異常の有無を調べます。治療については、検査でどのような病気が発見されるかによって異なります。

11-3実際にのどの病気にはどんなものがありますか?

のどが詰まった感じを生じる原因としては、(1)鼻や副鼻腔の慢性の炎症のために、鼻の奥から咽頭に痰のようなものが流れている(これを後鼻漏といいます)、(2)扁桃や舌の奥の舌根部といわれる部分などが腫れていて、のどが狭くなっている、(3)のどの奥(喉頭、下咽頭)に慢性の炎症がある、(4)のどの奥(喉頭、下咽頭)に嚢胞や腫瘍などの出来物ができている、(5)甲状腺が腫れたり、甲状腺のなかに腫瘍などができている、などが挙げられます。(3)の慢性の炎症がおこる原因としては、逆流性食道炎やアレルギー性の喉頭炎などがあります。

舌扁桃肥大 扁桃膿栓 喉頭癌(右声帯)

11-4のどが詰まった感じがするのに、病院では異常がないといわれました。何故でしょう?

のどの閉塞感が強いにもかかわらず、病院での検査で、はっきりした異常が見つからないこともあります。このように原因のはっきりしない「のどの異常感」は、咽喉頭異常感症とよばれ、中高年の女性に多くみられます。なぜ、特に中高年の女性に多いのかという理由は、はっきりとは分かっていません。

英語では、この咽喉頭異常感症のことを、globus hystericus(ヒステリー球)といいます。globus は球、hystericusは子宮を意味する医学用語です。ちなみにhysterectomyというのは、子宮摘出術のことです。古代ギリシャでは、この症状が女性に多いことから、子宮が、身体の上のほうにせり上がってきて、のどを圧迫するために、あたかも球(ボール)がのどにつまったような症状を引き起こしているのだと考えていたようです。globus hystericusは、そこからきた言葉です。一方、中医学の古典である金匱要略のなかには、「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん)」という言葉がでてきます。「あぶった肉が、のどに張り付いてとれない」というような意味です。このような症状に対しては、半夏厚朴湯という漢方薬を使うとよいと書かれています。この記載を根拠に、現代でも、咽喉頭異常感症に対して半夏厚朴湯が処方されることがあります。