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Q&Aコーナー

12.耳鳴り

12-1静かな場所でも何か音が聞こえるような気がするんですが大丈夫でしょうか?

外界からの音とは別に、内耳自体が自分で音を発生する現象が知られており、これを自発耳音響放射といいます。耳の病気をもたない健康な人でも、約4割の方が、自発耳音響放射をおこしているといわれています。耳に異常のない健康な方が、静かな場所で、耳鳴りを感じるという場合、この自発耳音響放射が聴こえているという可能性があります。実際、静かな場所で何か音が聞こえるということ自体は、特に珍しいことではないようです。ただ、次項で述べるように、耳鳴りには多様な原因が関係しているとされ、自発耳音響放射だけで全ての耳鳴りが説明できるわけではありません。

12-2耳鳴りは、なぜ、起こるのでしょうか?

一口に耳鳴りといっても、いろいろなものがあります。音は、外耳道(耳の穴)から、鼓膜、中耳、内耳、聴神経を経て、最終的に脳の聴覚中枢で感知されます。この音が伝わる経路のどこかに異常を生じると耳鳴りが起こることがあると考えられています。例えば、音響機器などでも、マイクからアンプを経てスピーカーに至るまでの間のどこかで故障がおこると、スピーカーからの音に雑音が混じってしまいます。耳鳴りも同じようなものだということです。しかし、一方で、音の伝達とは関係なく、脳自体の問題で耳鳴りがおこる場合のあることも知られています。また、音の伝達経路に同程度の障害があったとしても、それをどの程度の耳鳴りとして感じるかは、個人個人で異なると考えられています。これらは、耳鳴りに、脳の機能(感情、記憶、注意など)が関係していることを示唆しています。すなわち、単に音響機器の雑音と同じ現象として説明できるものではない場合も多いということです。

一方、上記のような耳鳴りとは別に、頭の中で発生している音を、耳鳴りとして感じている場合もあります。耳の近くの血管を血液が流れる音が、「ザー、ザー」と聴こえるようなものが代表です。この血管の雑音のような音が急に聞こえだした場合には、脳の血管の病気がおこっていなかを調べる必要があります。

12-3耳鳴りは治るのでしょうか?

12-2で述べたように、一口に耳鳴りといっても、原因は様々です。耳鳴りの原因によって、比較的治り易いものもあれば、治りにくいものもあります。例えば、外耳や鼓膜、中耳の異常で耳鳴りがおこる場合もあります。これらは、その原因を取り除けば治るものが多いようです。一方、内耳や聴神経に障害がおこったために生じた耳鳴りは、一般に治りにくいとされています。しかし、すべての耳鳴りが治らないわけではありません。また、12-2で述べたように、耳鳴りには、脳の機能や感じ方が関係している側面もあります。最近では、耳鳴りの治療として、耳鳴りの原因となった障害自体の治療ではなく、脳の感じ方を変えることによって、耳鳴りの苦痛度を軽減させようというような治療もでてきています。

12-4耳鳴りと難聴は関係があるのでしょうか?

前述のように、通常、耳鳴りは、音の伝わる経路のどこかに異常を生じた際に起こってくるものが多いとされています。その場合には、当然、耳鳴りとともに聴力に異常をきたしていることが考えられます。実際、耳鳴りがある方に聴力検査を行うと、多くの場合で、聴力の異常が発見されます。一方、稀には、耳鳴りがあるのに聴力検査で異常がないこともあります。このような耳鳴りを特に無難聴性耳鳴といいます。