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Q&Aコーナー

17.顔面神経麻痺

17-1顔面神経麻痺とはどのような症状のことをいうのでしょうか?

額にしわを寄せたり、目を開けたり閉じたり、口元を動かしたりといった動きは、顔面筋(表情筋)によっておこされます。この顔面筋の動きを支配しているのが、顔面神経です。顔面神経は、耳の骨(側頭骨)の中を、聴神経と並んで通っており、この顔面神経が麻痺することにより、片側の顔面の目や口元の動きが悪くなるものを、顔面神経麻痺といいます。

17-2顔面神経麻痺は放っておいても治る病気ですか?

顔面神経麻痺には、ある程度、自然回復があります。特に、難聴やめまいなどの合併症もなく、麻痺自体も軽症のものは、自然に完治してしまうこともあります。しかし、重症のものは後遺症を残すことがあり注意が必要です。一方で、顔面神経麻痺が、最終的に治るタイプなのか後遺症を残してしまうのかということを、発症した時点で判断するのは困難です。したがって、発症初期には、なるべく可能な限りの治療を行っておいた方がよいと考えられます。

17-3顔面神経麻痺の治療方法を教えてください。

顔面神経麻痺の治療は、通常は、薬の治療が主体となりますが、重症の場合、手術が行われることもあります。基本的に使われる薬は、ビタミン剤(Vit.B12)や内耳の循環改善剤、抗ウィルス薬などで、これらを飲み薬や点滴で投与します。抗ウィルス薬を使う理由は、ほとんどの顔面神経麻痺が、帯状疱疹または単純疱疹のウィルスによっておこることが分かっているためです。これに加えて、ステロイド剤を使うことがあります。顔面神経麻痺がおこると最初の段階で、顔面神経が腫れる時期があります。ステロイド剤は、炎症や腫れを引かせる力が強いので、顔面神経が腫れすぎて損傷するのを防ぐ効果があると考えられているためです。

顔面神経麻痺の治療では、以前から色々な議論があります。治療法で議論が分かれるのは、顔面神経麻痺には自然治癒するものも多くあるので、薬の効果を統計的に検証するのが難しいためです。しかし、なるべく後遺症を残さないようにという観点から考えると、初期には、上記のような治療を出来る限り行った方がよいと考えられます。

17-4友人には「入院したほうがいい」と言われたのですが、通院でも治療は可能ですか?

17-3で示したような薬は、飲み薬として使うこともできますし、点滴で使うこともできます。一般に、飲み薬よりも点滴の方が効果が強いので、重症の場合は、入院で点滴の治療を行う方がよいでしょう。また、顔面神経麻痺の初期には安静も重要ですが、通院よりも入院の方が安静にできるというメリットもあります。しかし、軽症の場合は、通院の治療でも大丈夫です。入院か通院かについては、上記のような病気の程度の他、ご本人の生活やお仕事の問題も考慮した上で、可能な範囲で出来る限りの治療を行うようにするべきでしょう。