menu

 

Q&Aコーナー

鼓膜切開 Q&A

Q1. 鼓膜切開の目的を教えてください

鼓膜切開の目的は二つあります。まず、鼓膜の内側の中耳腔の中に貯まった膿や貯留液を吸い出すこと。ふたつめが、吸い出した後の中耳腔内の換気を行うことです。特に、2番目の目的が重要で、鼓膜切開後、1〜2週間は、切開した孔が開いたままで、中耳腔の換気の良好な状態が保てるのが理想的な鼓膜切開といえます。

▲上へ

Q2. 鼓膜切開は、中耳炎を治すために絶対に必要な処置なのでしょうか

ケースバイケースですが、絶対に必要とまでいえる場合は少ないです。ただ、急性中耳炎の場合は、鼓膜切開を行ったほうが、発熱や痛みなどの不快な症状が早くとれます。また、乳幼児の滲出性中耳炎が長く続いている状態は、中耳にかなりの負荷がかかっていることになり、長期的には、言葉の発達の遅れや、耳の周りの骨の発育不良など問題がおこります。切開を行うと、一時的にでも中耳にかかる負荷をとってあげることになります。

▲上へ

Q3. 鼓膜切開は、かなり痛いものなのでしょうか

滲出性中耳炎で切開を行う場合、鼓膜表面の麻酔をきちんと行ったうえであれば、ほとんど無痛です。かめやまクリニックでは、0歳児の子供さんであっても、必ず、しっかりと鼓膜表面の麻酔を行った後に、切開をするようにしています。ただし、急性中耳炎で鼓膜表面の炎症が強い場合、麻酔をしても、多少の痛みを感じることがあります。

▲上へ

Q4. 鼓膜切開を行うと、聞こえが悪くならないでしょうか

中耳炎で中耳に膿などが貯まった状態では、鼓膜が動きにくくなるので、聞こえが悪くなります。鼓膜切開を行って中耳内の貯留液がなくなると、逆に、聴こえはよくなります。

▲上へ

Q5. 後遺症が残ることはないでしょうか

鼓膜の表面は、体表と同じ皮膚です。鼓膜切開では、メスを使って、鼓膜面に3〜4mm程度の切開を行いますが、これは、丁度、腕などに血管注射をする程度の創です。鼓膜は再生力が強く、切開した創はすぐに再生しはじめ、最終的には元と同じようになります。数回の鼓膜切開を行うことで後遺症が残ることは、通常ありません。
 ただ、血管注射も毎日、同じ箇所に注射をし続けていると、その部分の皮膚や血管が硬くなってきます。それと同じように、短期間のうちに、あまり回数多く鼓膜切開を繰り返すと、鼓膜に瘢痕などが残ってしまうこともあります。
 そこで、再々、中耳炎をくり返して、その度に鼓膜切開が必要になるような場合は、鼓膜に換気チューブを入れる方法が望ましいといえます。鼓膜に換気チューブを入れてしまえば、通常、中耳炎を反復することがなくなります。

▲上へ

Q6. 鼓膜切開をすると、くせになると聞いたことがありますが本当ですか

鼓膜切開を行ったために、余計に、中耳炎になりやすくなるということは決してありません。一般に、中耳炎は低年齢ほど、かかりやすく、治りにくい傾向があります。特に、3歳以下では、一旦中耳炎になるとなかなか治りにくく、治っても、すぐに再発してしまうことがあります。ただ、中耳炎を繰り返しておこすかどうかは、子供さんによって随分違います。この違いは、主に子供さんの体質や生活環境によるものであり、鼓膜切開を行ったかどうかは、あまり関係がありません。むしろ、中耳炎がだらだらと続いて、なかなか完治しない場合など、一度、鼓膜切開を行ってきれいに排膿してあげると、それきり治ってしまうような場合もあります。

▲上へ

Q7. 中耳炎を何度も繰り返して切開して大丈夫でしょうか

Q5.で書きましたように、1〜数回の鼓膜切開で、後遺症が残るようなことはありません。しかし、短期間の間に、回数多く切開を繰り返した場合、鼓膜に瘢痕などが残ったりすることがあります。かめやまクリニックでは、通常は、1ヶ月に2回以上の切開は、なるべく行わないようにしています。そして、1〜3回程度、鼓膜切開を行ったにもかかわらず、2ヶ月以上、中耳炎が治りきらずに続いている場合は、鼓膜換気チューブ挿入術をお勧めしています。

▲上へ

Q8. 鼓膜切開の後で熱が出たり、痛んだりすることはないでしょうか

いずれも心配ありません。発熱については、急性中耳炎で熱が出ている場合には、鼓膜切開を行うと、翌日くらいから熱が下がってきます。逆に、切開しても熱が下がらない場合は、中耳炎以外の原因(風邪など)が一緒におこっている可能性があります。また、痛みについても、急性中耳炎での痛みが強い場合は、切開を行って数時間後くらいから痛みがなくなってきます。滲出性中耳炎についても同様で、鼓膜麻酔の効果が切れた後に痛みがでてくるということは、ありません。
 ごく稀に、鼓膜切開の直後に、めまい感やムカムカする感じがでることがあります。このような場合は、数時間程度、安静にしておいていただくと治まってきます。

▲上へ

Q9. 鼓膜切開を行った後に、注意することがあれば教えてください

特別な注意はありません。当日の洗髪は、できれば避けていただいたほうがよいかもしれません。また、中耳炎が治るまでの間は、洗髪の際に、なるべく耳のなかに水が入らないように注意してください。
 鼓膜切開のあとで、耳だれが出続ける場合があります。また、ときには、血混じりの耳だれが出ることもあります。いずれも特に心配はいりません。耳の周りや入り口についた耳だれや血液は、きれいに拭き取っておいてください。そのままにしておくと、皮膚が荒れますので。耳の中の方を綿棒などでさわる必要はありませんが、点耳薬が処方されていれば、次回の受診までの間しっかり点耳しておいてください