

うまく吸うためには、鼻の構造を少し知っておく必要があります。
鼻の構造として大事なことは、以下の二つです。
この二つを理解しておけば、ずっとうまく鼻を吸い取ることができます。
まず、「1.鼻の中は、複雑に入り組んでおり、通路はとても細い」を説明します。
鼻の入口は、楕円形にぽっかりと開いていますが、その中は、粘膜が複雑にせり出していて、空気の通る通路はとても細く、かつ曲がりくねっています(図4)。
そこで、後鼻漏を吸い取るためには、器具の方向が、この狭い通路の方向に正確に向いている必要があります。器具が間違った方向を向いていると、せり出した粘膜自体を吸ってしまうことになります。そうすると、後鼻漏がうまく吸えないばかりか、粘膜が腫れるため、よけいに鼻がつまる原因となります。
次に「2.後鼻漏は、鼻の奥ののどに近いところにたまっている」を説明します。
鼻の孔は、下に向かって開いています。そのため、鼻を吸うときに、器具を上に向けてしまいがちです。しかし、図のように、目的の後鼻漏は、鼻の孔から水平方向の後ろにあります(図5)(図6)。
ですので、これを吸い取る際には、まず、器具を上向きに入れた後に、その状態で水平方向に角度を変えてやる必要があります(図7)。
ただし、前述のように、鼻の中の一番手前には、下鼻甲介という大きな出っ張りが道を塞いでいます。しかも、この下鼻甲介は、鼻炎などでは通常よりも大きく腫れてきて、余計に空気の通路を塞ぎます。そのため、後鼻漏の吸引では、その間の狭い隙間をからうまく吸いだす必要があります。
そこで、鼻を吸う際に、同じ方向ばかりで吸わずに、軽めに吸いながら、器具の角度を色々に変えてみてください。色々と角度を変えていくと、急に奥からズルズルと鼻水が吸い出されてくる角度が見つかることがあります。この角度を保ちながら吸うように心がけてください。
さて、鼻を吸うポイントを、もう一度、繰り返します。
以上で、鼻の吸引のやり方のご説明は終わりです。たったこれだけのことを知っておくだけで、ずっと効率的に後鼻漏を吸い取ることができるようになります。
一旦、吸引に恐怖を感じてしまうと、それ以後は難しくなります。子供さんを怖がらせないように、お母さんとのスキンシップの中での遊びの一環のような形でやれると理想でしょう。