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各疾患の解説と症例集

バセドウ病の治療について

バセドウ病の治療には、以下の三つの方法があります。
日本やヨーロッパでは、薬の治療が最も多く行われていますが、米国では、アイソトープによる治療の方が多く行われています。

  1. 薬の治療
  2. アイソトープによる治療
  3. 手術による治療

薬の治療について

外来で簡単にできるというメリットがあり、日本では約9割の方、ヨーロッパでは約8割のバセドウ病が、この方法で治療されています。
他の二つの方法に比べた場合の欠点は、治癒までに時間がかかること、完全に治癒する率が、他の二つの方法に比べ低いことがあります。 甲状腺機能をみながら徐々に薬を減量していきますが、いつ薬を止めるかについての明確な基準はありません。 通常は1.5〜2年間内服を続けます。 1年間薬を継続した後に中止した方の寛解率(治癒する割合)は、40〜50%といわれています。
薬の治療を2年くらい続けても、治癒にいたらない場合には、アイソトープや手術についても検討してみる必要があります。
副作用として多いものは、皮疹や蕁麻疹で、約20人に一人くらいに出現するといわれています。 重篤な副作用としては、稀ですが、無顆粒球症という白血球の中の好中球が少なくなる副作用があり、これは注意を要します。 急に熱がでたりした場合は、この可能性を考えて検査を行います。 この他、肝機能障害がおこることもあります。 これらの副作用は、薬の治療開始後、2〜3ヶ月内で起こりやすいといわれており、それ以後は、あまり副作用の心配はないといわれています。

薬には、メルカゾールプロパジールの二種類があります。
メルカゾールは、プロパジールに比べ、甲状腺機能を抑える効果が強い一方、副作用として無顆粒球症をおこす率は、逆にプロパジールよりも低いと考えられているので、原則として、メルカゾールの治療を行う方がよいとされています。

妊婦・授乳婦の場合

一般的な先天奇形の頻度、子供の知的発達は、妊娠中にメルカゾールやプロパジールを内服していても健常妊婦と差がないといわれています。
ただし、妊娠初期(5週〜8週)に、メルカゾールを内服した方に、後鼻孔閉鎖、食道閉鎖、気管食道瘻、頭皮欠損などの特殊な先天異常が認められたという報告がありますので、妊娠初期には、メルカゾールではなくプロパジールを使った方がよいとされています。
プロパジール300mg以下、メルカゾール10mg以下であれば、授乳を行っても乳児の甲状腺機能には影響しないといわれています。

薬の減量・中止の目安

治療開始後は、1ヶ月に1回程度で、血液検査を行います。
FT4の値を目安にして、正常化すれば、薬を減量していきます。
TSHの値は、薬を飲み始めると、すぐに下がってきますが、その後薬を減量するにつれ、徐々に上がってきます。 減量していくなかで、TSHの値が正常値を越えないよう注意します。