現在、耳鳴りについて、医学的に分かっていることの概略と最新の耳鳴り治療についてご説明します。

山口県山口市の県庁近く、かめやまクリニックの耳鳴り治療について解説したホームページです。

「耳鳴りは治らないので、あきらめるしかない」

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これは、正しいでしょうか。
実は、必ずしも、そうではないのです。

一口に耳鳴りといっても、いろいろなものがあります。耳鳴りのなかには、軽い外耳道の炎症や中耳炎などで起こるものもあり、これらは、耳鼻咽喉科での普通の治療で治ります。

一方で、感音難聴に伴う耳鳴り、また原因不明の耳鳴りなどの多くは、頑固に続いて治りがたいことも事実です。このようなタイプの耳鳴りに対しては、現在でも特効薬のようなものは存在しません。ところが、近年、このようなタイプの耳鳴りに対して、薬ではない治療法が行われるようになってきました。
ここでは、この新しい耳鳴り治療について、ご紹介します。

「耳鳴りがしていても、命に別状はないのだから、気にしないことだ」

これは、正しいのでしょうか。実は、これも、間違いです。

稀ですが、耳鳴りのなかには、重大な病気が隠れているものもあり、注意が必要です。これらの耳鳴りについても、後で、述べますが、今までなかったのに、ある時期から、耳鳴りが鳴りはじめたという場合は、一度は、耳鼻咽喉科で診察を受けておかれた方がよいでしょう。

さて、このサイトでは、耳鳴りの原因やタイプ、また危険な耳鳴りなどについて、ご説明します。そして、前述の薬を使わない、新しい耳鳴り治療についてご説明いたします。

ご挨拶

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耳鼻咽喉科かめやまクリニック
院長 金谷浩一郎

耳鳴りに苦しんでいる方は、多いと思います。耳鼻科医として約25年仕事をするなかで、耳鳴りに悩む沢山の患者様を診てきました。なかでも、印象に残っている方が何人かおられます。

私が、まだ、駆け出しの研修医の頃でした。30代女性の方が、診察に来られました。何か思いつめたような硬い表情で、耳鳴りがするので診て欲しいといわれました。
その方は、数か月前に、突発性難聴にかかり、別の医療機関で治療を受けられた方でした。幸い、難聴は7割方改善したのですが、耳鳴りが全く改善せずに残ってしまったというのです。そこで、耳鳴りをなんとかして欲しいと、前の耳鼻科の先生に訴えられたそうです。そうすると、その先生が、すぐに軽い感じで、「耳鳴りは、治りませんから、あきらめてください」といわれたということでした。
その先生がいわれたことは、医学的には正しいといえます。突発性難聴の後遺症として数か月後まで残ってしまった耳鳴りを、確実になくしてしまうという薬はありません。そのことを正直に伝えた先生は、ある意味、誠実な方であると思います。しかし、その患者さんは、以上の話を続けるうちに、途中から目に涙があふれ出し、最後は、嗚咽しながら話をされました。それほど、その一言が、その方にとってショックだったということです。
この経験はとても印象深く、今でもありありと覚えています。「耳鳴りは治りません」といわれた瞬間に、その方は、一生この状態が続くのかと絶望的な気持ちになられたのでしょう。それほど耳鳴りは苦しいものだということを、そのとき知りました。

その後、10数年たって、今度は、自分がその耳鳴りを経験することになってしまいました。
丁度、開業の準備をしている頃でした。ある朝、突然、片側の耳で、「ザー、ザー」と何か水が流れるような音が聞こえました。それもかなりの音量です。後で述べますが、このような耳鳴りは、血管性耳鳴といって、脳の血管の病気の可能性がある、とても危険なタイプの耳鳴りといわれています。すぐに「脳動静脈ろう」という病気が頭に浮かびました。当時勤務していた病院に出勤してすぐに脳外科の先生に相談し、その日のうちに頭のMRI検査等を行うことになりました。
ところが、検査では全く異常がありませんでした。検査で異常ないということで一安心しましたが、その後も「ザー、ザー」は全く止まりません。とにかく、うるさくて仕事も手につかず、このときは本当に困りました。不思議なことに、その「ザー、ザー」は、数週間続いて、ある日突然、ピタッと鳴りやみました。
その耳鳴りの原因がなんだったのか、未だに分かりませんが、その経験を経ることで、私は、耳鳴りがしている方の日常生活がどのようなものなのかが、実感として分かりました。

さて、それでは、耳鳴りの治療は、どのようにしたらよいのでしょうか。

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このホームページで、私は、耳鳴りについて、現時点で分かっていることや治療法について、概略をご説明したいと思います。また、特に、補聴器による治療やTRTという新しい治療についてご紹介したいと思います。

このホームページが、耳鳴りに悩んでおられる方の一助になれば幸いです。

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