耳鳴り|かめやまクリニック 耳鳴りページ

かめやまクリニックについて

耳鳴りの治療体系

耳鳴りの治療法

一口に耳鳴といっても、原因は様々です。
外耳、鼓膜、中耳に明らかな異常がある場合は、まず、これらに対する治療を行います。内耳の障害による耳鳴は、比較的多くみられますが、この場合、大抵は感音難聴を伴っており、急性期には難聴に対する治療を行う必要があります。内耳や聴神経が原因でおこる耳鳴や、原因不明の耳鳴のうち、慢性化したものに対しても、薬の治療が行われることがあり、中には有効なケースもあります。
しかし、現時点で、全ての耳鳴に確実に効くという薬はないのが現状です。一般に耳鳴に対して行われている耳鳴の治療について以下に概説します。

1)投薬(西洋薬)治療

これまで、耳鳴には様々な内服薬が試みられてきており、たまたま、ある内服薬が、ある方の耳鳴によく効いたというような報告は沢山あります。しかし、どの耳鳴に対しても一律によく効くというような内服薬は、残念ながら、まだありません。
一方、注射薬では、リドカインという薬があり、これを静脈注射すると、大体7割くらいの方の耳鳴は、一時的に消えます。現在、耳鳴で確実に有効な薬は、唯一、リドカインだけといわれています。ただ、残念なことに、このリドカインによる効果は、長くは続かず、1時間もすれば、また、元と同じような音に戻ってしまいます。このため、一時期、耳鳴の治療として、リドカイン静注療法はよく行われましたが、最近では、ほとんど行われなくなりました。

2)漢方薬による治療

耳鳴に有効といわれている漢方薬には、牛車腎気丸釣藤散加味逍遥散、などがあります。しかし、これらの薬も、耳鳴のある方すべてに効くわけではありません。他の方法が無効の場合、一度、試してみられてもよいかと思いますが、1〜2週間飲んでも効果がない場合、さらに長期に飲み続ければ、いつかは効くというようなものではありません。

コラム耳鳴りに効くという健康食品がありますが、本当でしょうか?

前述の内服薬と同様に、たまたま、ある健康食品が、ある方の耳鳴に効果があったというようなことはあるかもしれません。しかし、科学的な試験を行って、多くの耳鳴患者に対して有効という結果が出ているような健康食品はありません。特に、サプリメントや健康食品の場合は、医薬品と違って、副作用についての厳密な試験が行われているわけではありませんので、飲む場合は副作用についての注意が必要です。健康食品の副作用についての情報は、「独立行政法人「健康食品」の安全性・有効性情報」などで見ることができますので、参考にされてください。

3)補聴器による難聴の治療

難聴のある方の場合、補聴器を使用することで、耳鳴が軽くなることがあります。当院でも、ある程度の難聴を伴い耳鳴もうるさいという場合、まず、補聴器を試してみていただくことがあります。

耳鳴に対する補聴器の抑制効果については、耳鼻咽喉科医の間では、かなり以前から、経験的によく知られていました。しかし、近年、なぜ、耳鳴がおこるのかということについての新しい理論が出てきて、それに基づいて後述のTRTという治療が行われるようになりました。この耳鳴についての新しい理論を使うと、TRTだけでなく、補聴器による耳鳴の抑制効果についても、よく説明できるのです。

この新しい理論とは、簡単にいうと、それまでは、耳鳴を、どこで雑音が生じているのかという観点から見ていたのに対し、新しい理論では、どこで雑音が生じているかではなく、脳が何故、雑音を感じているのかという逆の視点から見るということになります。この理論については、『TRTについて』のところで詳しくご説明します。

さて、当院では、以上のような理由で、耳鳴のある方に対して補聴器を試していただくことも、積極的に行っています。
補聴器については、クリニック内で補聴器を合わせることもできますし、ご希望により、補聴器店への紹介状をお書きすることも行っております。

4)TRT(音響療法)

サウンドジェネレーターの写真
図3.TRTで使用するサウンドジェネレーター

TRTは、Tinnitus Retraining Therapyの略で、日本語では、耳鳴り順応療法というように訳されています。Jastreboffという研究者による耳鳴に関する理論を元にした治療で、サウンドジェネレーター(図3)という補聴器に似た器械を使用します。TRTの詳細につては、次の項で、詳しくご説明します。

以上述べた、当院における耳鳴治療の流れを、図4に示します。

図4.かめやまクリニックでの耳鳴治療の流れ


1.聴力検査 等・問診と診察。
2a.耳鳴の原因となる耳鼻科領域の病気がある場合は、耳鼻科領域の病気の治療/
2b.耳鳴の原因となる他科領域の病気の可能性がある場合は、頭の検査や他の診療科への紹介/
2c.上記いずれにも該当しないが非常にうるさい耳鳴の場合は、難聴がある場合、補聴器 or TRT or 補聴器+TRT。難聴はない場合、TRT。

さて、最後のTRTという治療について、次のページ以降で詳しく解説したいと思います。

「TRTについて」 →次のページへ