実際にはない音が聞こえるものを、耳鳴といいます。セミの鳴く音、モーターのような音、等々、人によって耳鳴の鳴り方は様々です。実際にはない音といっても、それが“人の話し声”、“笑い声”というような場合は、幻聴とよび、耳鳴とは区別します。
尚、一般には、耳鳴り(みみなり)といいますが、医学的には、耳鳴(じめい)といいます。意味のうえで大きな違いはありませんが、以後、耳鳴と書いてある部分は、医学用語としての「じめい」とご理解ください。
耳鳴についての大規模な調査がいくつかありますが、それらによると、耳鳴を感じたことのある人の割合は、大凡、人口の2割くらいという結果がでています。そのうち、日常生活に苦痛を感じるほどの耳鳴を感じている人は7〜8%で、睡眠に支障があるという人の割合も大体、それと同程度という報告があります。
ほとんどの場合、耳鳴の音は、その人本人にしか聞こえません。しかし、稀に、耳鳴のしている人の耳の近くに聴診器を当てると聞こえるようなケースもあります。このような他人にも聞くことのできる耳鳴のことを他覚的耳鳴と呼んでいます。