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上咽頭への塩化亜鉛塗布療法(Bスポット療法・コロナ後遺症外来)

Bスポット療法とは

上咽頭は軟口蓋の裏側にある部位で、耳管(鼻と耳をつなぐ管)に近い場所にあります。(子供の頃にアデノイドがあった場所です)・・図をご覧ください
風邪などの際に、鼻の奥が痛くなることがありますが、これは、この上咽頭に炎症を起こしているような場合です。

イメージ

上咽頭は、子供の頃、扁桃と同様に免疫に関係しているといわれるアデノイドがあった場所です。アデノイドは、大人になると縮んでいき、多くは消失してしまいます。しかし、アデノイドが消失した後にも、上咽頭は炎症を起こしやすく、また、時に、慢性的な炎症が続くことがあります。

扁桃の炎症は、強い痛みや発熱を起こしやすいですが、上咽頭の慢性的な炎症は、扁桃炎などと違い、あまりはっきりした症状がありません。

  • なんとなく、のどがおかしい
  • のどに何か貼りついたような感じがする
  • 耳がつまった感じがするが、診察を受けても耳自体は異常ないといわれる
  • 鼻は悪くないのに、鼻声が治らない

等々の一見、不定愁訴のような症状になります。また、扁桃は口を開ければ見えるのに対し、上咽頭は、内視鏡を入れなければ見ることができません。そのため、上咽頭炎は診断がつかないまま、長く経過してしまうことがあります。

さて、このような慢性の上咽頭炎の治療ですが、抗生物質などを含む飲み薬の治療は、一時的に有効ですが、なかなか完治させることができません。これに対し、塩化亜鉛というお薬を上咽頭に塗るという治療があります。この治療法を塩化亜鉛療法(または、Bスポット療法)といいます。これは東京医科歯科大学、堀口申作名誉教授が考案された治療法で、比較的古い治療法ですが、現在でも、内服薬などよりも有効な治療として、広く行われています。塩化亜鉛療法(Bスポット療法)は、通常、週に1〜2回で、全体で10〜15回程度を目安に行われます。

塩化亜鉛療法(Bスポット療法)は、先に示したような、のどの不快感や後鼻漏などの他、以下のような症状にも効果を示すことがあるといわれています。

  • 掌蹠膿疱症
  • 頭重感、肩こり
  • 自律神経失調症

また、上咽頭とは別ですが、扁桃に白い塊(膿栓)がつくという場合、上記の上咽頭に対する塩化亜鉛療法(Bスポット療法)と同じやり方で、扁桃に塩化亜鉛を塗り続けることで、膿栓ができにくくなります。

当塩化亜鉛による膿栓治療について

膿栓とは、俗称で「臭い玉(くさいだま、においだま)」などともよばれているものです。口臭の原因になることでも知られています。一般に医療機関での積極的な治療の対象とはなりにくく、吸引除去や洗浄などが行われます。しかし、膿栓は一旦できるようになってしまうと、洗浄を繰り返しても何度も再発し、なかなか完全に消えてしまうことはありません。ところが、上咽頭炎に対するBスポット療法の応用で、膿栓のできる口蓋扁桃の陰窩の中などに塩化亜鉛を塗布し続けると、徐々に膿栓ができにくくなってきます。膿栓によるのどの違和感や口臭でお困りの方は、一度ご相談ください。

当院にBスポット療法で通院される方へ

当院にお越しの際に、「上咽頭治療(Bスポット療法)」を希望する旨をお伝えください。
まずは症状を伺った上で、お鼻の状態を内視鏡で確認し、Bスポット療法の適応の有無を判断致します。

適応有と判断した場合には、鼻風邪のような症状の軽い方では1度だけの治療で症状が改善できる可能性があります。一方で炎症が強い場合や症状が慢性化しているような場合には週に1〜2回、合計10〜15回程度を目安に治療を受けて頂くのが理想的です。

Bスポット療法についてのご注意点

  • 症状が強い人ほど(特にのどの炎症の方)ヒリヒリとした痛みが強くなります。ヒリヒリとした痛みは長い方で半日ほど続く場合がありますが、そういった方ほど治療を続けていただく価値があります。継続して実施して頂くと徐々に治療実施時の痛みも治まってゆき、それに伴って症状は改善してゆきます。
  • Bスポット療法の実施後、血の混じった鼻水・痰がでることがありますので、その都度ティッシュなどで外に出すようにしてください。
  • Bスポット療法は現在受けている治療法の補助的な位置づけですので、現在実施されている治療は無論継続して頂くことができます。

治療例

治療例1

のどの違和感や、飲み込むときにつかえる感じ、痰がのどにへばりついた感じを訴えて来院された方です。回数を重ねるごとに痂皮(かさぶた)が消えてゆくに従い、のどの違和感はほぼ消失してゆきました。

治療例2

のどのつかえた感じ、唾を飲み込む時の違和感を訴えて来院された方の治療例です。5回目以降黄色い痂皮(かさぶた)が消失、10回目には症状はほぼ消失しました。

※全ての方に上記2例のような痂皮(かさぶた)が上咽頭についている訳ではありません。

新型コロナウイルス感染症の後遺症について

新型コロナウイルス感染の後遺症では、様々なものが報告されています。比較的多い症状としては、のどの痛みや違和感がとれない、後鼻漏感(のどに痰が流れる感じ)や咳が治らないなどです。これらは、新型コロナウイルスに限らず、普通の風邪のウイルスの後でもよくみられるもので、上咽頭の炎症が遷延化しておこるものです。

また、感染後数週間が経過しても体調が回復しない、特に全身の倦怠感、疲労感に悩まされるなど、慢性疲労症候群に似た症状を呈する例もまれにあります。

当院では、新型コロナウイルス感染症を含むウイルス性の上気道炎を風邪で発症した場合の上記のような症状に対して、Bスポット治療を行ってきました。

また、新型コロナウイルス感染症の後遺症として、においや味の障害も比較的多く、これらについては、1ヵ月後までの嗅覚障害の改善率が60%程度という調査結果があり、長く遷延する例もみられます。これらの嗅覚・味覚障害に対しては、日本耳鼻咽喉科学会によるガイドラインに沿った治療を行っております。

新型コロナウイルス感染症の後遺症として

  • 強い倦怠感、だるさ
  • 喉の違和感、咳
  • 頭痛
  • 集中力の低下
  • めまい、耳鳴り
  • 動悸息切れ
  • においが分からない、味がわかならない

などの症状がある場合は一度ご相談ください。

<コロナ後遺症と上咽頭炎の関係に関する記事>

<嗅覚障害診療ガイドライン>