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Q&Aコーナー

4.アレルギー性鼻炎

4-1アレルギー性鼻炎はどんなものがアレルギーの原因になりますか?

アレルギー性鼻炎の原因として多いのは、スギ花粉が最も多く、ダニ・ハウスダストがこれに次ぎます。その他としては、カモガヤなどのイネ科植物の花粉、ブタクサ、ヨモギなどのキク科植物の花粉、ヒノキ花粉なども原因となります。北海道には、スギの木が少ない一方、シラカンバ(シラカバ)の木が多いので、スギ花粉症も少ない代わりに、シラカンバ花粉症の方が多いといわれています。すなわち、何か特定の植物が、特にアレルギーを引き起こすわけではなく、どんな花粉でも多く曝露を受ければ、その花粉に対するアレルギー性鼻炎を引き起こしてきます。

4-2アレルギー性鼻炎は増加傾向にあるといわれますが、その原因はなんですか?

日本だけでなく、世界中で、アレルギー性鼻炎は増えつつあるようです。その本当の原因は、分かっていませんが、一つには、アレルギー性鼻炎を引き起こす原因である抗原の量が増えているということがいわれています。住宅様式の変化や住まい方の変化によって、現在は、戦前に比べハウスダスト・ダニが非常に増加しているといわれています。また、日本では戦後、全国的にスギの植林が行われたため、1960年代後半からスギ花粉の飛散量が増加してきており、それに伴って、1970年代からスギ花粉症患者が急増してきています。

アレルギー性鼻炎増加の、もう一つの理由としていわれているのが衛生仮説です。これは、ある地域の衛生状態がよくなるにつれて、寄生虫や細菌などによる感染症が減少してきますが、それが、免疫に関与する細胞のバランスを崩し、アレルギーを引き起こしやすくさせるというものです。その他、大気汚染、栄養状態の改善、ストレス社会などの影響もいわれています。

37才男性 通年性アレルギー性鼻炎

18才女性 アレルギー性鼻炎
(ハウスダスト)

4-3アレルギー性鼻炎の治療法を教えてください。

鼻アレルギー診療ガイドラインでは、アレルギー性鼻炎の治療として、薬物療法、減感作療法(特異的免疫療法)、手術の三つが挙げられています。薬物療法に使われる薬物は、剤型から、内服薬(のみ薬)、点鼻薬、点眼薬、に分かれます。また、作用の面から、ケミカルメディエーター遊離抑制薬、受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬、抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランディンD2・トロンボキサンA2薬)、Th2サイトカイン阻害薬、ステロイド薬、等に分けられます。すなわち、アレルギー性鼻炎の治療には、薬だけでなく、それ以外の治療もあり、また、その薬にも、いろいろな種類のものがあるということです。治療では、その方の症状に応じて、これらの方法を組み合わせて行いますので、一口にアレルギー性鼻炎の治療といっても多くのバリエーションがあります。

4-4飲み薬と点鼻薬はどちらがいいんでしょうか?

アレルギー性鼻炎は、単に鼻の症状だけではなく、全身的な症状を引き起こします。そのため、通常はまず飲み薬を使い、必要に応じて補助的に点鼻薬等を併用するというのが一般的で、ガイドラインでも推奨されています。しかし、必ずしもそれにこだわる必要はありません。アレルギー性鼻炎の症状の出方は、人によって様々です。その方が、最もよく症状が改善する方法を見つけることが重要です。

4-5アレルギー性鼻炎の治療で注意することがありますか?

点鼻薬のうち、交感神経刺激薬(血管収縮薬)のタイプは、鼻づまりに最も速効性がありますが、長期に使用すると、逆に鼻づまりが悪化して治りにくくなってきます。また、一般に、ステロイド薬は、アレルギー性鼻炎の症状を最も強く抑えることができますが、内服や注射などで全身的に投与する場合、副作用に注意する必要があります。特に、ステロイド薬の注射は、非常に効果が高い反面、副作用も大きいので、よほどのことがなければ避けた方がよいといわれています。ステロイド薬の飲み薬は、注射に比べれば副作用の出方は低いのですが、1週間程度の使用に留めるべきとされています。ただし、ステロイド剤も、鼻噴霧用など局所剤として使う場合には、全身的な副作用はほとんど心配なく使うことができます。

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