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Q&Aコーナー

18.いびき・睡眠時無呼吸症候群

18-1いびきは体に悪い影響がありますか?

いびきは、睡眠時無呼吸症候群の最も特徴的な症状とされており、いびきのある人での検査では、非常に高率に睡眠時無呼吸症候群の方が発見されるといわれています。睡眠時無呼吸症候群は、日中の集中力の低下や活動性の低下の他、心臓病や脳卒中の要因にもなりうることが分かっていますので、いつも、いびきをかくという方は注意が必要です。

18-2いびきや睡眠時無呼吸は、何故おこるのでしょうか?

呼吸に際して、空気の通り道である、鼻やのどに狭いところがあると、空気の流れで、その部分の粘膜が振動して音を発します。これが、いびきです。その狭い部分が、さらに狭くなると一時的に、空気が通らなくなります。これが、睡眠時無呼吸です。睡眠中は、のどの周囲の筋肉が弛むことに加え、仰向けに寝た状態では、舌や軟口蓋がのど側に落ち込みやすいので、のどが狭くなる傾向があります。そのため、いびきも無呼吸も、覚醒中ではなく睡眠中におきやすいのです。

18-3いびきや睡眠時無呼吸は、加齢と関係がありますか?

18-2で述べたように、睡眠中は、のどの周囲の筋肉が弛むため、のどが狭くなるということが、いびきや睡眠時無呼吸の原因のひとつです。のどの筋肉の弛みは、一般に、加齢に伴って、より強くでるようになります。このため、いびきや睡眠時無呼吸は、加齢に伴って、より起きやすくなるといえます。しかし、いびきや睡眠時無呼吸をおこす原因としては、加齢以外にも、肥満、睡眠体位、アルコール摂取、鼻疾患(アレルギー性鼻炎、等)、咽頭疾患(扁桃肥大、舌扁桃肥大、等)など、色々あります。これらの原因が複合的に働いて、いびきや睡眠時無呼吸をおこしますので、高齢者が誰でも、睡眠時無呼吸症候群になるわけではありません。

18-4睡眠時無呼吸症候群の診断方法を教えてください。

簡易睡眠検査や終夜ポリソムノグラフィーなどを行います。簡易睡眠検査では、呼吸状態や動脈血酸素飽和度などを調べる器具を装着して、一晩寝ていただき、その間の無呼吸の回数などを調べます。終夜ポリソムノグラフィーでは、簡易睡眠検査での項目に加え、脳波、筋電図、心電図、胸腹の呼吸運動、等々についても調べます。その他、内視鏡検査で、鼻からのどにかけての状態を観察したり、鼻腔通気度検査で、鼻の通り具合を調べたりもします。これらの所見を総合して、診断していきます。

18-5睡眠時無呼吸症候群の治療法を教えてください。

治療は、外科的治療と保存的治療に分かれます。保存的治療は、さらにNCPAP(軽鼻持続陽圧呼吸)と口腔内装置による治療に分かれます。

慢性の鼻炎や副鼻腔炎、鼻茸などで、常時、鼻がつまっている場合には、鼻の通りをよくする手術で呼吸状態が改善する場合があります。また、扁桃肥大や軟口蓋が厚く大きいことが原因で、のどが狭くなっている場合、扁桃を摘出したり軟口蓋を切り取ったりしてのどを広げる手術が行われることがあります。これらが、外科的治療です。

NCPAP(軽鼻持続陽圧呼吸)とは、睡眠中、マスクをつけて寝ていただく治療です。マスクを通して、鼻から空気が送られます。この空気の圧力で、鼻やのどの空気の通り道が押し広げられることにより、呼吸がしやすくなるものです。欧米では、睡眠時無呼吸症候群の治療の第一選択とされており、日本でも保険適応になっています。治療効果は非常に高いのですが、対症療法なので継続する必要があります。また、鼻の病気(アレルギー性鼻炎や鼻茸、等)で、鼻がつまっている場合は、まず、手術などで鼻づまりを治療しておく必要があります。

下顎を前方に引き出したり、舌を前方に牽引したりする状態を保持するようにする装置を口に装着するのが、口腔装置による治療です。これは、仰臥位で寝た状態で、舌の奥が後方に落ち込むことによって、のどが閉塞する状態を改善する治療です。手術やNCPAPに比べ簡便ですが、NCPAPと同様に対症療法です。比較的軽症の方に向いている治療であり、効果は個人差が大きいので、手術と同様、適応をよく調べる必要があります。