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良性発作性頭位めまい症

良性発作性 頭位めまい症とはどんな病気か?

良性発作性頭位めまい症は、英語で、Benign Paroxysmal Positional Vertigoといいます。通常、この頭文字をとって、BPPVというように略してよばれます。

内耳に三半規管という器官があります。3つ車輪の一部を切って、その切り口どうしをくっつけたような形になっています。3つの車輪は、互いに直交する平面と平行になっています。つまり、空間を表すXYZ軸の座標を考えた場合の、XY平面、YZ平面、XZ平面の関係のような形に位置しています。この車輪の中はリンパ液で満たされていて、車輪が動くと中のリンパ液が対流で反対方向に動きます。このリンパ液の動きを感知する細胞が、根元のところにあります。さて、頭が動くと、それに応じて3つの車輪(半規管)のなかのリンパ液が動くので、理論的には、その3つの動きを解析することで、頭が、3次元空間のなかでどの方向にどのくらいのスピードで動いているかということを計算することができるはずです。実際、私たちは三半規管からの情報をもとに、そのような計算を時々刻々行い続け、その情報をもとに身体全体のバランスを保っているといわれています。

良性発作性頭位めまい症という病気は、この三半規管の中に耳石という異物が入り込むことによって起こるとされています。耳石とは、三半規管の根元の前庭というところに存在するカルシウム結晶です。異物(耳石)が三半規管の中に入り込むと、その半規管だけ、リンパ液の対流のスピードが変わってしまい、実際の頭の動きとは違う情報を送ってしまうようになります。この間違った情報は、他の三半規管からの情報とマッチしませんので、これが、めまい感の原因となります。頭を動かした後、頭の動きが止まると、少し遅れて三半規管のなかのリンパ液の動きも止まります。リンパ液の動きが止まれば、三半規管からの異常な情報の発信もなくなるので、めまいも治まるということになります。すなわち、良性発作性頭位めまい症では、頭を特定の方向に動かしたときだけ、ぐるぐる回るようなめまいが10〜数10秒間続き、その後は回転する感じは一旦止まるのが特徴です。

一般に、めまいという感覚には、慣れ(なれ)があります。何度も、同じめまいを起こすようなことを繰り返していると、だんだん慣れてきて、めまいの感覚がにぶくなります。良性発作性頭位めまい症でも、最初は、激しくグルグル回っていても、発症後、時間がたってくると、めまい感が多少、軽減してきます。しかし、異物(耳石)が残っている間は、完全には症状がとれませんので、次の項で述べるような方法で、なるべく異物(耳石)を取り除く必要があります。

良性発作性頭位めまい症の特徴

  1. 通常、頭を特定の方向に動かしたときだけ、めまいが起こる
  2. めまいは、頭の動きを止めた後、数秒〜数十秒間続くが、通常1分以内に収まる
  3. めまいを起こす動きを何度も繰り返しているうちに、徐々にめまいが軽くなる
  4. 症状は、めまいだけで、難聴や耳鳴が一緒におこることはない

良性発作性頭位めまい症の治療法

良性発作性頭位めまい症も、他のめまいと同様で、発症後の早期で、めまい症状が非常に強い時期は、内服薬や点滴などで、まず、その症状を軽くします。

しかし、前項で述べたように、三半規管のなかの異物(耳石)が残っている間は、症状が完全になくなることはないので、なるべく早めに、この異物(耳石)を取り去る方法を試みるようにします。元々、この異物(耳石)は、頭の位置や動き方の関係で、たまたま外部から三半規管の中に入り込んだものなので、入ったのと逆の方法で排出させることができるはずです。

そこで、頭を特定の方向に順番に動かすことで、三半規管のなかの異物(耳石)を外に排出させるような特殊な動かし方が、いくつか考案されています。最も有名な方法に、Epley法という方法があり、その他にも、Semont法、Lempert法、などがあります。ただし、これらの方法を行う場合は、まず、異物(耳石)が、どの三半規管に入っているかということを推定する必要があり、また、どの三半規管に入っているかで動かし方が異なるなど、個人で行うのは少し難しい面があります。

これに対して、ROM(rolling-over maneuver)という運動は、シンプルで、誰でも簡単に行うことができます。別名、寝返り運動、または、ゴロゴロ体操ともいいます。当院では、良性発作性頭位めまい症の患者様に対しては、通常は、この方法をお勧めしています。

良性発作性頭位めまい症は、睡眠中の体位との関係も指摘されており、いつも同じ方向を向いて寝る癖のある方に起こりやすいともいわれていますので、繰り返して起こされるような方は、そのような癖がないか注意してみられるとよいでしょう。

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