
▼めまいとは何か
▼めまいの診療
▼めまいの種類

めまいの種類
日本めまい平衡医学会が作成した、「めまいの診断基準化のための資料」というものに挙げられている、めまいの原因となる病気の一覧を、表1に示します。また、一方、トーマス・ブラントという研究者の書いた「Vertigo (めまい)」という本目次で取り上げられている、めまいを起こす病気を抜粋したものを、表2に示します。前者は日本の研究者によって作られたもので、後者は、欧州の研究者によるものです。この両者を比べてみると、一部に相違はあるものの、大体、同じような内容になっていることが分かります。
表1
表2
このように、めまいを起こす病気は、多岐に亘りますが、このような病気の種類を考える場合に重要なのが、それぞれの病気が、どのくらいの頻度で起こるのかということです。これらの病気のなかには、非常に発症頻度の高いものから、滅多に診られることのない、とても稀な病気もあります。そこで、その病気がおこる頻度から見ていくと、他の病気に比べ、群を抜いて多いのが「良性発作性頭位めまい症」という病気です。中枢性めまいまで含めた全てのめまい症例のうち、約半数がこの病気であるといわれています。そして、次に多いのが「メニエール病」です。この二つの病気以外のものは、いずれもこれらに比べると、かなり発症頻度が下がります。
この良性発作性頭位めまい症とメニエール病は、全く違う病気ではありますが、いずれも@内耳の病気であり、Aめまいの原因としてとても多い、という共通点があります。そして、その他に、この二つの病気については、いずれも、Bこれまで、膨大な研究がなされていて、その病態が大体わかっている。C診断する上での検査や治療の方法が、ある程度確立されている というような特徴があります。
さて、以上のことを踏まえると、めまいの診療では、まず、大きく、(1)良性発作性頭位めまい症、(2)メニエール病、(3)それ以外のめまい の3つに分けて考えていくのが効率がよいといえます。