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メニエール病とはどんな病気か?

メニエール病とはどんな病気か?

内耳には、前項で述べた三半規管、前庭の他に、蝸牛という音を感受する器官もあります。これら三半規管、前庭、蝸牛は、リンパ液で満たされた袋のような構造になっています。メニエール病は、このリンパ液の代謝が悪くなり、リンパ液がうまく潅流しなくなるため、内耳の中がリンパ液過剰になって膨れたような状態になる病気です。これを内リンパ水腫といいます。

メニエール病は、病態が内耳全体におよぶ場合と、主に蝸牛の部分だけに限局しておこる場合とがあります。後者の場合は、めまいはおこらず、ただ、難聴や耳鳴だけがおこり、これを、蝸牛型メニエール病といいます。前者の場合は、難聴や耳鳴に加え、めまいが起こります。すなわち、メニエール病でおこるめまいでは、通常、片側の耳鳴や難聴が、めまいと一緒に起こってきます。すなわち、難聴・耳鳴が、めまいと一緒に起こるというのが、メニエール病の大きな特徴なのです。メニエール病でおこる難聴は、聴力検査上は、低音障害型難聴という特徴的な型を示します。また、典型的なメニエール病では、この難聴・耳鳴+めまいの発作を、何度も繰り返して起こしてきます。

メニエール病の方の、発作の起こり方を詳しく調べていくと、生活上の大きなイベント(自宅の新築、転居、転職、子供の結婚、身内の死亡、等々)を経験した後で、発作が起こることが多いということが、以前から多くの研究者により指摘されています。このことから、メニエール病の発症には、ストレスが大きくかかわっているのではないかと考えられています。“Menierization is civilization”という言葉があります。これは、civilizationすなわち、文明化が進みストレスが多くなるほど、menierizationすなわちメニエール病が増えるということを意味しています。

メニエール病の特徴

  1. メニエール病のめまいでは、通常、耳鳴や難聴を伴う
  2. メニエール病では、聴力検査上、低音障害型難聴という特殊な難聴がみられる
  3. メニエール病は、内耳がリンパ液過剰の状態(内リンパ水腫)となるためにおこる
  4. メニエール病の発症には、ストレスが大きくかかわっているといわれている

メニエール病の治療法

良性発作性頭位めまい症のところでも述べたように、めまいがひどく起こったばかりで起き上がれないというような急性期の治療は、いずれのめまいでも同様で、まず、内服薬や点滴などで、その症状を軽くします。

少し落ち着いた後に、残っている症状に対しては、内耳の循環や代謝を改善する薬を使います。また、しばしば、利尿作用のある薬が使われます。これは、内耳の過剰なリンパ液を排出させるためです。特殊な治療として、「内リンパ嚢解放術」という手術もあります。この手術は、内耳の過剰なリンパ液を内耳の外に排出させる交通路を作るもので、古くから、メニエール病に対して行われていました。しかし、Thomsenという研究者が、内リンパ嚢解放術の偽手術(これをsham surgeryといいます)を行っても、本物の手術を行ったのと同等の効果が得られたという論文を、1981年に発表し、以後は、行われることが少なくなりました。しかし、特殊なケースでは、今でもこの手術が行われることがあるようです。

一方、前述のように、メニエール病の発症には、ストレスが関与していると考えられていることから、ストレスの軽減を図る方法を取り入れたり、生活スタイルの見直しを行うことが重要であるということもいわれています。これを、強く推奨しておられるのが、現在、横浜で「めまいメニエール病センター」を開設している高橋正紘先生という方です。高橋先生は、山口大学、東海大学の教授を務められ、その間、一貫して、メニエール病とストレスの関係についての研究を進めてこられました。これらの研究成果は、最近、「薬も手術もいらない めまい・メニエール病治療」(角川SSC新書)という本にまとめられています。一般向けの書籍ですが、メニエール病とストレスの関係や、メニエール病の治療について、かなり専門的な内容にまで踏み込んで書かれていますので、メニエール病に悩んでおられる方には、一読をお勧めします。

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