
▼めまいとは何か
▼めまいの診療
▼めまいの種類

めまいの診療
危険なめまい、すなわち中枢性のめまいとそれ以外のめまいを区別する方法ですが、実は、これが、意外と簡単ではありません。脳梗塞なども、起こったばかりの急性期のときには、画像検査で確認することが難しいことが多く、そもそも緊急に検査をすること自体が難しい場合もあります。また、脳血管障害でもTIAといわれる、一時的に脳の血流がつまったが、その後すぐに開通したようなタイプのものや、中枢神経の変性疾患などは、通常の画像検査で確認することが困難です。
結局、危険なめまいとそうでないめまいの区別においても、前述のように、問診と平衡機能検査を含む神経系の検査が、最も重要となります。
医療機関を受診する前の段階で、一般の方が、危険なめまいを区別するポイントとして重要なものを以下に挙げておきます。めまいに伴って、以下のような症状が一緒に起こった場合は、危険なめまいの可能性があります。
以上の症状が、めまいに伴って、はっきり起こってきたという場合は、すぐに医療機関を受診してください。
上記以外に、普通に立てるかどうかということは、とても重要です。普段は、普通に立てる人が、ふらふらして立てなくなったという場合は要注意です。逆に、ふらふら、ふわふわするような感じがするという方でも、片足で20秒くらい立つことができれば、あまり心配はいりません。
ただし、立てなくなったということが、直ちに中枢性めまいを示唆する所見というわけはありません。メニエール病、その他、内耳性のめまいでも、急性期には、立つことができないくらいのめまいをおこすことはしばしばあります。
めまいに伴って嘔吐するような場合、不安になるものですが、嘔吐も、特に中枢性めまいで起こるというわけではありません。中枢性であれ、内耳性であれ、そのめまいが、急に発症し、程度がひどい場合には、大抵、嘔吐が起こります。嘔吐するかどうかは、めまいの原因とは関係ありません。
頭からおこるめまい、すなわち中枢性めまいで最も多いのは、脳卒中です。脳卒中は、大きく、 (1) 血管が詰まって脳の細胞が死んでしまう「脳梗塞」と、(2) 血管が破れて起こる「頭蓋内出血」に分けられます。脳卒中以外では、神経変性疾患というものがあります。これは、脳や脊髄にある神経細胞のなかで,ある特定の神経細胞群が徐々に障害を受け脱落してしまう病気です。
以上あげた中枢性めまいのうち、頭蓋内出血以外の病気は、通常のCTではなかなか診断がつきません。大体は、MRIで診断をつけていきますが、それぞれ、その病気を狙った特殊な撮影法をしないとわからないような場合も多く、単にMRIの検査をすれば、中枢性めまいが全部わかるというものではありません。
一般に、めまい全体のなかで、頭部の画像検査で異常がでる割合は、数%といわれています。
前述のように、めまいの診療では、まず、それが危険なめまい(脳卒中)ではないかどうかを、まず、確認します。しかし、めまい全体のなかで、脳卒中の占める割合は、かなり多めに見積もっても2〜3%といわれています。
では、この98%のめまいの方は、次にどうすべきかを述べます。一般に、ひどいめまいで、横になって動けず、嘔吐しているというようなときは、とりあえず、その症状を押さえるための点滴などを行います。その後、ある程度、めまいが落ち着いたら、さらに、その原因を調べる検査を行っていきます。