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山口県山口市の耳鼻咽喉科かめやまクリニック

アレルギー性鼻炎解説サイト

対策について

点鼻薬についての大事な話

点鼻薬は大きく分けると3種類あります。

  1. 抗アレルギー薬の点鼻薬
  2. ステロイドの点鼻薬(鼻噴霧用ステロイド薬)
  3. 血管収縮剤(交感神経刺激薬)の点鼻薬

上記の3つの点鼻薬のうち、ステロイドの点鼻薬については、前のステロイド薬のところで書いた通りです。

さて、3番目の血管収縮剤(交感神経刺激薬)の点鼻薬についてご説明します。この点鼻薬は、鼻づまりを最もよく改善させることができます。実は、市販の鼻炎用点鼻薬のほとんどに、この血管収縮剤(交感神経刺激薬)が入っています。これは、それだけよく効くからですね。

血管収縮剤(交感神経刺激薬)の効く仕組みを簡単に説明すると、以下のようになります。鼻の粘膜の内側には海面静脈叢とよばれる領域があります。例えていうと、血管だらけのスポンジのような部分です。鼻の粘膜が腫れて鼻がつまるのは、このスポンジの中の血管が腫れて血液で一杯になるからです。この状態のときに、血管収縮剤(交感神経刺激薬)を使うと、血管が収縮して、丁度スポンジを絞って水を出し切ったような状態になるので、鼻の粘膜の腫れが取れて、鼻づまりが改善します。

しかし、鼻の粘膜の腫れが取れるのは、あくまで一時的なことで、しばらくして薬の効果がなくなると、再び血液が血管の中に戻り鼻がつまってきます。そこで、もう一度、同じ点鼻薬を使うことになり、この繰り返しが続きます。

ところが、ここに大きな落とし穴があるのです。それは、これを繰り返していると、この海面静脈叢の血管以外の部分が、段々固く腫れてくるようになります。そうなると、今度は、血管収縮剤(交感神経刺激薬)を使って血管を収縮させても、以前のようには鼻づまりが取れなくなってしまうのです。そして、一旦このようになってしまった組織は、もう元に戻れなくなってしまいます。この状態を薬剤性鼻炎といいます。

すなわち、血管収縮剤(交感神経刺激薬)の連用によって、元々は単なるアレルギー性鼻炎だけの状態であったのが、アレルギー性鼻炎+薬剤性鼻炎 という、より重症の状態に変わってしまったわけです。

このような理由から、アレルギー性鼻炎のような慢性の鼻炎に対しては、原則として、血管収縮剤(交感神経刺激薬)は使用すべきでないと考えられます。

鼻アレルギー診療ガイドラインでは、血管収縮剤(交感神経刺激薬)の点鼻薬は、鼻づまりが極端にひどい重症の鼻炎の場合に限り、1日1〜2回を限度に、1〜2週間を目安として使うように書かれています。そして、この間に、他の薬剤や鼻噴霧用ステロイド薬の治療を併用して、鼻炎が軽症化してきたら、ただちに血管収縮剤(交感神経刺激薬)の使用を中止すべきであるとされています。

それほどの重症でない場合、また、他の治療で鼻づまりの改善が図れる場合には、原則として、血管収縮剤(交感神経刺激薬)は使用すべきではありません。

1番目の抗アレルギー薬の点鼻薬は、内服薬でも使われる抗ヒスタミン薬などを、液状にして点鼻として使うものです。他の点鼻薬や内服の治療に比べると、効果の面ではやや落ちますが、血管収縮剤(交感神経刺激薬)のように薬剤性鼻炎をおこす恐れはありません。ただ、抗ヒスタミン薬の点鼻では、まれに眠気が出ることもあります。抗アレルギー薬の点鼻薬は、軽症のアレルギー性鼻炎や、他の治療が使えないようなときに補助的に使われます。